考古学研究会
<考古学研究会事務局>
〒700-0027
岡山県岡山市北区清心町16-37長井ビル201
TEL・FAX 086-255-7840
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会誌『考古学研究』
目次
第59巻 第1号(通巻233号)
2012年6月
展 望
特報文化財からみた東日本大震災レポート—宮城県と岩手県の事例—
金田善敬
特集 震災に向き合う考古学(3)様々な災害痕跡
文字史料がない時代の地震痕跡と災害
小野 昭
先史時代の土砂災害と人びとの暮らし
冨井 眞
福島県の原子力災害と歴史資料・考古学
菊地芳朗
考古学研究会 東京例会 ミニシンポジウム報告
西川修一
春日向山古墳・山田高塚古墳の立入り観察報告
森本 徹
情報社会と報告書問題
森本和男
論 文
日朝における胡ロク金具の展開土屋隆史
要旨 本稿では,胡ロク金具が半島南部と列島でどのように展開したのかを検討した。まず,半島南部の胡ロク金具群を4つの分布類型に区分し,新羅・百済・大加耶・阿羅伽耶という政治勢力と関連付けて整理した。次に,列島の胡ロク金具群を半島南部との関連の中で捉え時系列的に位置づけることで,時期ごとの地域間交流の様相を復元した。さらに,列島における分布状況の変化に注目した。出現当初,在来系盛矢具である靱が根付く畿内では,胡ロクは古墳副葬品としてほとんど採用されない。しかし5世紀末以降,胡ロクが畿内で急増するとともに広域で出土数が増加する。畿内における胡ロクの受容が,広く日本列島に胡ロクが定着する契機になったと考えた。
キーワード 古墳時代,日朝交流,畿内,胡ロク金具,分布
陶棺からみる畿内と吉備
宮岡昌宣
要旨 陶棺の製作技法,形態的特徴から型式分類を行い,地域性と編年を提示した。それらの相互関係を追究するなかで陶棺に関わる集団の動向,つまり畿内および吉備の古墳時代後期から飛鳥時代の政治的,社会的諸関係の一端に接近し,陶棺の歴史的意義を考察した。陶棺は6世紀中葉,畿内・南河内を嚆矢とし,その影響のもとに吉備では後葉,備中南部を初現とした。8世紀前葉まで命脈を保ち22の型式が展開し,その背景は畿内と吉備では様相が異なる。畿内では,土師質亀甲形と土師氏との関連,須恵質四注式とは須恵器生産集団との結びつきを,一方吉備では多様な背景が窺え,鉄生産に関わる有力在地勢力,製鉄・窯業など手工業に直接携わる工人集団との関連を指摘した。
キーワード 陶棺,型式変化,段階別分布,畿内,吉備
研究ノート
群馬県中野谷松原遺跡に見る縄文時代前期の社会変化—ランクサイズ分布による分析—塚原正典
要旨 縄文時代の社会組織の研究では,埋葬施設や集落構造の分析から,分節構造や階層性を指摘する研究が多く行われているが,各階層や分節単位相互の関係を明らかにすることは困難であった。本論では,群馬県安中市中野谷松原遺跡の住居址面積を利用したランクサイズ分布により住居址相互の社会経済関係の分析を試みた。今回,対象とした中野谷松原遺跡は,関東地方という縄文海進の影響を強く受けた地域にある大規模拠点集落で,住居址をはじめ,集落に伴う多様な施設がそろい,分析には最適と言える。また,有尾・黒浜式期と諸磯式期の両時期にわたる十分な数の住居址が存在し,比較的長期間の変化を追うことが可能である。
キーワード ランクサイズ,住居址,面積,縄文時代前期,社会経済的変化
縄文時代人の食性と集団間移動—安定同位体分析による試論—
日下宗一郎
要旨 人骨の炭素・窒素・ストロンチウム同位体分析を行い,縄文時代人の食性や集団間移動を明らかにした。大田集団においては,食性の性差が見つかり,男性の方が海産資源に依存していた。また,稲荷山集団では,4I系の男性は陸上資源に強く依存し,2C系の男性は海産資源に強く依存していた。ストロンチウム同位体によって,吉胡集団と稲荷山集団の移入者が判別された。男女ともに集団間を移動し,4I系も2C系も集団間を移動していた。特に,稲荷山集団においては,抜歯系列の違いが,生涯を通じた食性分化を反映していることを示唆した。
キーワード 縄文時代,人骨,抜歯,食性,移動
書 評
東村純子著『考古学からみた古代日本の紡織』小笠原好彦
ココが聞きたいッ!考古学の最前線
カンボジアにおける考古学と文化遺産の継承丸井雅子(聞き手 浦 蓉子・上月克己・石村 智)
地域情報
埼玉だより—三角縁神獣鏡・初発見—佐藤幸恵
日本の遺跡・世界の遺跡
兵庫県神戸市 旧神戸外国人居留地遺跡神戸市教育委員会
ブルガリア共和国 カラノヴォ遺跡
千本真生
考古学研究会第58回総会・研究集会報告