考古学研究会
<考古学研究会事務局>
〒700-0027
岡山県岡山市北区清心町16-37長井ビル201
TEL・FAX 086-255-7840
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会誌『考古学研究』
目次
第59巻 第2号(通巻234号)
2012年9月
展 望
特集 震災に向き合う考古学(4)西日本の津波痕跡山口県下関市梶栗浜遺跡における津波・高潮痕跡
濱崎真二・岡崎祐子・下山正一・市原季彦・大木公彦
遺跡からうかがえる津波の痕跡
—石垣島嘉良嶽周辺の遺跡の検証を通して—
山本正昭
シンポジウム「農耕の起源」に参加して
坂口 隆
「第44回『建国記念の日』を考える岡山県民のつどい」参加記
古市秀治
考古学研究会第58回総会「現代社会と考古学」講演
考古学による日朝関係史研究の現状と課題—先史・古代を中心に—高田貫太
考古学研究会第58回総会研究集会報告(上)
集落址研究と時間尺度石井 寛
要旨 縄文集落址の研究は,近年,資料の増加も関係して,実証的な方向性を強めている。従来,ともすれば恣意的な解釈に流れる傾向のあった集落構造論や社会論に対して,実証的な資料分析を行う中から,着実かつ共通の基盤となりうる分析の蓄積が意図されている。それら作業の基底を形成しているのが一時的集落景観把握への模索であり,同時存在の住居址や遺構群の抽出を基礎とした,具体的な集落の把握が目指されている。現状においては,縄文集落の体系的な把握は道半ばの状態にあるが,その努力を存続しつつ,将来へ向けて,縄文集落址研究における,着実な展望をもちたい。
キーワード 横切り集落論,実証的研究,一時的集落景観,遺跡群研究
弥生土器様式論
大塚達朗
要旨 満洲国の建国後,森本六爾・小林行雄は,弥生土器の南満洲起源と日本列島内東漸を物語る様式論を展開した。様式は,伝来・東漸物語中のキャラクターに例えればわかりやすい。しかも,様式は,山内清男の〈亀ヶ岡式は精粗二様の製作がある〉という認識のご都合主義的援用であった。畢竟,彼らの様式論は時局に迎合した言説の提供であった。敗戦後,小林は,『日本古代文化の諸問題』で,縄紋土器型式編年研究を無視しながら,弥生土器=遠賀川式跛行的分岐説を唱え,畿内の櫛描紋様の様式が縄紋土器との合体であることや参照枠が『記紀』であることなどを披瀝した。要するに,森本・小林の弥生土器研究は,科学的認識ではなかったのである。
キーワード 伝来・東漸物語,キャラクター,亀ヶ岡式,『記紀』,遠賀川式
古墳時代首長墓系譜論の系譜
下垣仁志
要旨 本論では,まず首長墓系譜論の研究史を整理し,数系統に区分しうる首長墓系譜論の「系譜」を検出し,その特質と欠点を剔出した。次いでその欠点を克服するべく,①器物の保有状況,②継続面,③「一代一墳」の前提の留保,④複数埋葬,の4視点から首長墓系譜の「系譜」の内容を追究した。論点は多岐にわたったが,首長墓系譜の不安定さは流動的で競合的な有力集団関係の反映であり,こうしたなか各地で優勢化した有力集団が,自集団の同一性を固定すべく造営した「首長墓」のつらなりこそが首長墓系譜だと考えた。
キーワード 首長墓系譜,有力集団,長期保有,複数埋葬,鏡
論 文
高麗王朝時代の朝鮮半島在来船研究と日本伝統船舶の発展論木村 淳
要旨 年韓国では水中及び潮間帯での発掘調査により,朝鮮半島在来船の発見が相次いでいる。1983年の莞島船発見についで,達里島船(1995),十二東波島船(2003),安佐船(2005),大阜島船(2006),泰安船(2007)の6隻の船体が2007年までに特定されている。これらは11世紀末から14世紀の高麗王朝時代の船であり,いずれも平底の船体をもつ。本論では,その構造を海事考古学の観点から概略するとともに,半島で確立していた造船技術の日本への影響を考察する。その上で,日本伝統船舶の発展論に再考の余地があることを指摘する。
キーワード 海事考古学,造船技術発展論,高麗王朝,朝鮮半島在来船,日本伝統船舶
史跡公園は今・保存と活用への新たな動き
文化遺産を活かした持続的なまちづくりへの挑戦—三重県斎宮跡—
大川勝宏
日本の遺跡・世界の遺跡
長野県中野市 柳沢遺跡廣田和穂
ホンジュラス共和国 サン・フェルナンド・デ・オモア要塞
木野戸 直