<考古学研究会事務局>
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会誌『考古学研究』
目次
第67巻 第2号(通巻266号)
2020年9月
展望
- 第34回考古学研究会東海例会「荒尾南遺跡を読み解く~集落・墓・生業~」参加記
- 鶴来航介
- 2019年度陵墓立入り観察について
- 佐藤亜聖
- 【連載】模擬古墳―遺跡・遺物の保存と活用を考えるための実験的取り組み―
論文
- 群馬県金井東裏遺跡1号男性の研究―古墳時代首長の地域経営と地域集団の階層構造―
- 若狭 徹
要旨 群馬県渋川市の金井東裏遺跡から発見された男性遺体の検討から,古墳時代首長の存在形態を考察した。この男性は小札甲を着たまま榛名火山の噴火で死亡していたが,周囲の出土資料の分析から,祭祀を執行していたこの地域で最上位の首長と結論付けた。またこの男性に渡来形質が指摘されることから,一帯の墳墓の階層性をもとに集団構造を検討した。その結果,男性は移入した技術集団の長であり,配下に複層的な渡来系集団と倭人が編成されていた状況を復元した。また,この移入集団は在地首長に受け入れられ,地域祭祀を委任されたと推定した。こうした地域経営集団の流動性が,古墳時代社会の特質であったと考察した。
キーワード 渡来集団,地位上昇,地域上位祭祀,首長権
- 中世末期播磨・畿内における瓦工人系統再考
- 山下大輝
要旨 中世末期播磨・畿内の瓦生産に関する研究はこれまで,大和系・四天王寺系・姫路系といった工人系統の存在が通説的理解とされてきた。しかしながらこの見解は,銘文瓦や同笵関係を重視したもので,製作技法に即した分析視点が希薄であったため,系統に内包される単線的構造のみが指摘されるものであった。
本稿では,その再検討として,軒平瓦の製作技術的属性と瓦当文様属性を分析し,その相関関係から得た傾向により,地域性および地域間関係を明らかにし,同笵関係のみでは見出せなかった播磨・畿内における複雑な工人系統について考察した。また播磨地域における工人系統の発生過程に関する新たな知見も得られた。
キーワード 中世末期,軒平瓦,属性分析,工人系統
書評
- 大工原豊・長田友也・建石 徹 編『縄文石器提要』
- 中村耕作
- 西相模考古学研究会・兵庫考古学談話会 編『弥生時代の東西交流―広域的な連動性を考える―』
- 竹内裕貴
- 谷澤亜里 著『玉からみた古墳時代の開始と社会変革』
- 松木武彦
- 国立歴史民俗博物館・松木武彦・福永伸哉・佐々木憲一 編『日本の古墳はなぜ巨大なのか―古代モニュメントの比較考古学―』
- 城倉正祥
- 木村 淳・小野林太郎・丸山真史 編著『海洋考古学入門―方法と実践―』
- 石村 智
考古フォーカス
- 長崎市 国指定史跡 長崎台場跡四郎ヶ島台場跡
- 田中 学・岡寺 良
- トルコ バットマン県 ハッサンケイフ・ホユック遺跡の発掘調査
- 三宅 裕
たより
- 感染症と考古学(2)
- 春成秀爾 編
- 愛知県陶磁美術館「YAYOI」「陶邑」2つの展覧会を開催
- 大西 遼
考古学研究会第66回総会・研究集会報告
全国委員会議事抄録
全国委員つうしん