<考古学研究会事務局>
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会誌『考古学研究』
目次
第68巻 第4号(通巻272号)
2022年3月
展望
- 広島市サッカースタジアム建設予定地の発掘調査と検出遺構の取り扱いをめぐって
- 藤野次史・石田雅春・妹尾周三・菊池 実・鈴木康之
- 神武紀元と辛酉革命論
- 新納 泉
- 大山古墳(伝仁徳天皇陵)の限定公開参加記
- 木村 理・澤田秀実
考古学研究会第69回総会・研究集会
- 趣旨説明 モノの継承と転換は何を意味するのか―時間軸上から継承を考える―
- 岩本 崇・中村耕作
- 講演要旨 鏡の伝世と集団
- 森下章司
- 報告要旨 縄文時代にモノの継承はあるのか
- 長田友也
- 報告要旨 弥生・古墳時代の玉類にみる長期保有
- 谷澤亜里
- 報告要旨 横穴系埋葬施設から見た古墳時代の地位・器物継承の背景
- 太田宏明
- 報告要旨 殷周青銅器における伝世・復古とその史的意義
- 山本 堯
考古学研究会第67回総会・研究集会報告(下)
- 植物資源利用から見た縄文時代の生活基盤の整備
- 佐々木由香
要旨 植物資源利用の視点からインフラを考えた場合,クリ林などの植物資源の管理システムの確立や集約的に植物を利用する施設として水場遺構が意味を持つ。縄文時代の植物資源利用の変遷は三期に区分される。Ⅰ期は植物が選択的に利用され,資源利用が確立する早・前期頃,Ⅱ期は利用種実に大型化などの人為的な関与が顕著な中期後半頃,Ⅲ期は利用植物の種類が重層化して,特定の水場遺構で植物利用が大規模に行われる後・晩期頃である。本州東半部では,定住集落成立以降にクリやウルシを中心とした有用資源に対する植物資源利用システムが確立し,後期前半前後以降は低地で安定的な資源利用が可能になり,資源利用システムが集団で維持されていた。
キーワード 縄文時代,水場遺構,植物資源利用,低地,植物考古学
論文
- 弥生時代中期瀬戸内地域における石庖丁流通の特質―四国北西部に分布する片岩製石庖丁の検討から―
- 乗松真也
要旨 弥生時代中期の瀬戸内地域では複数の石材を用いた石庖丁が使用される。本稿では,四国北西部に分布する片岩製石庖丁を対象として製作工程の復元をおこない,製作技術や石材から地域ごとの特徴を明らかにした。また,片岩製石庖丁の流通範囲が石材産地から隣接平野程度までであることを指摘した。このような流通状況は,瀬戸内地域中部を中心に広く流通する金山産サヌカイト製石庖丁とは対照的である。異なる流通形態をもつ石庖丁が共在するのは,打製石器に適する石材と適さない石材を石庖丁に用いるためと考え,こうした点を瀬戸内地域における石庖丁流通の特質としてとらえた。
キーワード 石庖丁,弥生時代,瀬戸内地域,片岩,流通
- 常総地域における後・終末期古墳の階層性
- 冨田 樹
要旨 古墳時代後・終末期の常総地域は,7世紀代に至っても前方後円墳の築造が継続され,埋葬施設が墳裾に置かれる古墳が主体となるなど,強い地域性が指摘できる。本稿では,そうした地域性の背景を探るための基礎的研究として,埋葬施設と墳丘の有機的関連に着目した。その結果,埋葬施設の種類と墳丘に対する位置関係は,埋葬景観の共通性を示しながら,階層差を表現していることが明らかになった。特に,6世紀後半以降は横穴式石室と同じ埋葬景観を志向したために,墳裾埋葬となることを指摘した。さらに,前方後円墳が7世紀以降も築造される要因の一つが,規模による階層差を表示しにくい竪穴系埋葬施設の墳裾埋葬が盛行するためと考えた。
キーワード 常総地域,古墳時代後・終末期,埋葬施設,墳丘,埋葬景観
新刊紹介
考古フォーカス
- 中国浙江省余姚市 井頭山貝塚と施嶴水田址
- 中村慎一
- メキシコ合衆国プエブラ州 トラランカレカ遺跡
- 嘉幡 茂・村上達也・フリエタ ロペス
委員会つうしん