考古学研究会
<考古学研究会事務局>
〒700-0027
岡山県岡山市北区清心町16-37長井ビル201
TEL・FAX 086-255-7840
会費免除申請について >

東日本大震災にかかる緊急声明 



 2011年3月11日に起きた東日本大震災は、地震と津波によって各地域に甚大な被害をもたらしました。さらに、震災が引き起こした原子力災害も加わって、東日本一帯が広域かつ深刻な被災地となっています。
 多数の犠牲者に深く哀悼の意を表し、被災された方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興を強く祈念します。
 考古学研究会は、今回の地震と津波災害及び原子力災害がもたらした惨禍を直視し、その重い事実を自らのこととして受け止めます。そして、幾多の災害を乗り越えてきた人々の生活を歴史から学ぶことが未来へ向けた活動の一歩になると信じています。
 今回の災害が、「千年に一度」や「想定外」といった言葉で表現しきれないことは、遺跡の調査や歴史資料をひも解くことによって明らかです。私たちは歴史上の過酷な災害に幾重にも直面した事実とともに、その度に地域社会を再建してきた実績を資料の中に見いだしてきました。
 東日本大震災では、私たちが関係する遺跡や考古資料はもとより、文化遺産全般にも著しい被害が及んでいます。遺跡の発掘によって確認される地震や津波の痕跡、記された災害の記録、それらを調査研究しながら教訓として生かし、情報を発信することも考古学研究者の重要な役割の一つです。
 考古学の研究によって得られる貴重な証言は、被災地での防災や減災を重視する復興計画に反映されるべき事実を含んでいます。こうした点から文化遺産の保存と活用は、震災からの復旧・復興、新しいまちづくりと整合し、調和すべきであると考えます。そして、かかる文化遺産が社会生活の再興にとって不可欠の要素であることを確認し、より快適な人間社会形成のための礎となるよう、考古学研究会はあらゆる機会をとらえて取り組みを続けていきます。


2011年4月24日
                   考古学研究会
代表委員 岸本道昭・菱田哲郎

 

考古学研究会は東日本大震災に直面し、第57回総会においてこの緊急声明を出しました。会はこの災害に対し、考古学の立場からさまざまな取り組みを考えていきます。