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お知らせ
防災庁の設置における文化財防災の職掌明確化を求める声明を発出しました
防災庁の設置における文化財防災の職掌明確化を求める声明
我が国は、この30有余年の間に、平成7年阪神・淡路大震災、平成16年新潟県中越地震、平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、平成30年北海道胆振東部地震、令和元年東日本台風、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震・豪雨など、多くの自然災害に直面してきました。また、令和7年の岩手県大船渡市林野火災や大分県大分市佐賀関火災など、大規模火災も発生しています。気候変動により風水害の激甚化や頻発化が現実のものとなり、さらに南海トラフ地震や富士山噴火などの発生が懸念されるなど、大規模な災害の脅威に直面するいま、日本政府において国民の生命や財産を守る司令塔としての防災庁の設置が検討されていることに、深く敬意を表します。
大規模な災害は、そこに暮らす人々からあらゆるものを奪い去ります。日々の平和な暮らしや経済基盤はもちろんのこと、地域で何世代にもわたり受け継がれてきた歴史的建造物、美術工芸品、古文書、民俗芸能、そして地下に眠る埋蔵文化財などの文化財にも滅失の危機が迫ります。文化財は、地域社会が歩んできた歴史を後世に伝える唯一無二の国民的財産であり、我が国の文化的アイデンティティを形成する重要な基盤です。しかし、文化財は、一度失われてしまえば二度ともとには戻りません。
過去の災害において、文化財の被災は人々の心や地域コミュニティに深い傷を与えてきました。その一方で、文化財の救出や復旧は、地域の絆を保ち、復興へ向かう大きな原動力となってきました。文化財の保護は、地域社会の災害からのレジリエンス(回復力)を高め、人々の豊かな社会生活を未来へとつなぐために必要不可欠な要素なのです。
災害発生時には、地上にある動産文化財(古文書等)および不動産文化財(建造物等)のすみやかな救出が求められます。指定・登録の有無にかかわらず、あらゆる文化財が救出の対象となります。道路や住宅等の復興に際しては、復興事業の円滑な推進と埋蔵文化財の適切な調査・記録・保存が重大な課題となります。
こうした多岐にわたる文化財を災害から守り、また災害からの復興と文化・歴史の継承を両立させるためには、平時の備えが重要であり、また、発災直後の段階から、復興計画のなかに文化財の保護と復旧が一体的に組み込まれている必要があります。
私たちは、防災庁の設置にあたり、我が国の文化・歴史を次の世代へ確実に継承するため、これまで被災地の緊急対応から復興までの過程において文化財保護を横断的に調整する役割を果たしてきた文化庁の専門的知見を十分に踏まえつつ、防災庁の職掌・基本方針に「文化財防災」を明記し、国難級の災害発生時にも文化財保護が置き去りにされないための制度的枠組みを築くことを強く求めます。
2026年7月25日
一般社団法人日本考古学協会 会長 石川 日出志
考古学研究会 代表 松本 直子
同 長友 朋子