会誌『考古学研究』

目次

第61巻　第４号（通巻244号）

2014年３月

お知らせ

展　望

• ふくしまの復興―記憶をつなぐ―参加記
• 中居和志
• シンポジウム「震災復興と埋蔵文化財」参加記
• 福永伸哉
• ２月に考えたこと―考古学が考古学であるために―
• 岸本道昭

考古学研究会第61回総会講演要旨

• 環境変動と考古学研究
• 甲元眞之

考古学研究会第61回総会研究集会発表要旨

• 趣旨説明「学際的アプローチと考古学研究」
• 清家　章・小林青樹
• 特別報告要旨「酸素同位体比年輪年代法がもたらす新しい考古学研究の可能性」
• 中塚　武
• 更新世から完新世への推移と人間活動―学際研究の現状と課題―
• 藤山龍造
• 水田遺跡の調査をめぐる学際的アプローチ
• 江浦　洋
• 炭素14年代をふまえたヤマト国像と倭国形成問題
• 岸本直文
• 考古学的手法を用いた火山災害研究―10世紀の巨大噴火と東北地方北部における人間活動―
• 丸山浩治

論　文

• まれびとの訪い―日本列島石刃石器群の成立―
• 田村　隆
  要旨　 石刃と石刃製作集団の関係については，世界的に膨大な量の議論が蓄積されてきた。このような趨勢の中で，日本列島での後期旧石器時代の開始と石刃技法の発生に関する議論がおこなわれている。従来の研究では，武蔵野台地Ⅹ層上部から出土する「石刃」や，「石刃」素材の「ナイフ形石器」などが，その後の石刃石器群の基盤であると見なされてきた。本論では，この時期の石刃製作システムを技術論的に見直し，石器群相互の比較をすすめるとともに，対案を提示する。

  キーワード　後期旧石器時代，石刃生産技法，新人（AMH）の行動，新人の移住と接触，行動景観
• 日本列島における鉄剣の出現とその系譜
• 杉山和德
  要旨　 弥生時代における日本列島出土鉄剣と朝鮮半島南部出土鉄剣を集成し，サイズと身部断面形態，茎部側面形態の３つの視点から分類をおこない，短剣と長剣を大別するともに，日本列島出土短剣を３大型式６小型式に，朝鮮半島南部出土短剣を３型式に細分した。各型式の年代を明らかにし，日本列島における鉄剣の出現過程について検討を進めた。日本列島の鉄剣は，その出現以来，直接，間接的に朝鮮半島南部の影響を受け続けながらも，最終的には小型化，規格化という朝鮮半島南部の変遷とは異なる独自の短剣文化を発達させてきたことを結論付けた。

  キーワード　鉄剣，身部断面形態，茎部側面形態，小型化，規格化
• 古墳時代中期の埴輪生産―京都府久津川古墳群の分析事例から―
• 原田昌浩
  要旨　 古墳時代中期の埴輪生産を，製作技術差から導き出された工人集団の変遷を追うことで明らかにした。つまり，古墳時代中期を通して造営される古墳群においては，古墳の築造ごとに工人集団が組織されるのではなく，当古墳群に定着した工人集団を中心に組織される。また，窖窯焼成の導入される前は埴輪の大小と工人集団とが対応するが，窖窯焼成導入後は埴輪の大小を一工人集団がつくり分ける。窖窯焼成を機に工人集団が再編成される。さらに，窖窯焼成の導入にともなって人物・動物埴輪も流入しており，窖窯焼成の導入は焼成技法の変化のみならず，埴輪様式の変革をも内包する可能性がある。

  キーワード　古墳時代中期，埴輪生産，窖窯焼成，古墳群

書　評

• 韓国考古学会編　武末純一監訳『概説　韓国考古学』
• 西谷　正
• 宮本一夫・高大倫編著『東チベットの先史社会』
  　四川省チベット自治州における日中共同発掘調査の記録
• 小林青樹
• 内山幸子著『イヌの考古学』
• 沖田絵麻

新刊紹介

• 惠谷浩子・前川歩編『遺跡学の宇宙　戦後黎明期を築いた13人の記録』
• 南　秀雄

考古学研究会創立のころ

• 春成秀爾さんに聞く／考古学研究会と私
• 春成秀爾（聞き手：岸本道昭）

考古学研究会との出合い

ココが聞きたいッ！考古学の最前線

• 考古学から現代社会へ私
• 羽生淳子（聞き手：中川朋美・銘苅耕作・吉田　広）

考古フォーカス

• 新潟県胎内市　城の山古墳の発掘調査
• 水澤幸一
• 岡山県岡山市　鹿田遺跡（岡山大学構地内）の発掘調査
• 荒川史康・佐々木憲一

例会レポート