<考古学研究会事務局>
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会誌『考古学研究』
目次
第62巻 第4号(通巻248号)
2016年3月
展 望
- 文化財保護行政を次世代につなぐために―「第2回埋蔵文化財保護行政説明会」のようす―
- 福永伸哉
- 「平成27年度埋蔵文化財保護行政基礎講座」参加記
- 清野孝之・三好裕太郎
- 古代からのメッセージ そして未来へ 古墳サミット大垣
- 髙木邦宏
- 第48回「建国記念の日」を考える県民の集い(岡山)参加記
- 銘苅耕作
- 【連載企画】 アートな考古学の風景 ③アートが土足で踏み込んだ!
- 松井利夫・伊達伸明
考古学研究会第62回総会講演要旨
- 食の多様性と気候変動―縄文時代前期・中期の事例から―
- 羽生淳子
考古学研究会第62回総会研究集会趣旨説明・発表要旨
- 趣旨説明 「環境変動と社会変容」
- 樋上 昇・松木武彦
- 縄文時代の環境変動と植物利用戦略
- 小畑弘己
- 地形発達と耕地利用からみた弥生・古墳時代の地域社会―河内平野南部を対象に―
- 大庭重信
- 古代浜名湖周辺にみる自然の変化と社会の変容
- 後藤建一
- 奄美・沖縄諸島貝塚時代における社会組織の変遷
- 高宮広土
論 文
- 日本列島における漢鏡の東方拡散と保有・廃棄の意義
- 南健太郎
要旨 本論では文様不鮮明な漢鏡を取り上げ,これらがどの程度磨滅しているのかを,デジタルマイクロスコープによる観察によって検討した。
その結果,これらの磨滅を三段階に分けることができた。またこれらの製作時期を製作技術的視点から検討し,磨滅の進行が著しいものは後漢前半,あまり磨滅していないものは後漢後半以降の製作であることを示した。
そして文様不鮮明な漢鏡の分布の検討から,弥生時代後期前半の東方拡散には北部九州の影響が強く,後期後半は東部瀬戸内以東の密接な地域間関係によって拡散したことを指摘した。また保有停止の背景には新たな漢鏡拡散形態の確立と大和盆地東南部地域との地域間関係の形成があったと考えた。
キーワード 弥生時代,漢鏡,鋳肌,磨滅,踏み返し
- 出土埴輪の原位置論的分析と破壊力学的検討から考える古墳の破壊
- 冨井 眞
要旨 京都盆地東北部に所在する古墳時代中期の吉田二本松古墳群の8号墳の周溝から出土した埴輪に対し,破片化の原因を解明するため,原位置論的な分析と破壊力学的な検討をした。まず,埴輪の分布域に基づき,埴輪が破片化する以前の樹立景観を推定復元した。次に,高残存率の6個体に対し,破片の原位置情報と元の完形状態における部位とを対照するとともに,割れを生んだ衝撃の強さや伝達方向を接合破片の接着線から検討し,破損と埋没の過程を復元的に論じた。その結果,この古墳の墳丘と埴輪が人為的に破壊されたことを導き出した。そして,遺構の切り合い関係と,埴輪の器面の遺存状態から,その破壊が古墳時代に遡り得る可能性を指摘した。
キーワード 原位置論,破壊力学,埴輪,古墳,破壊
- 古典期マヤの都市国家におけるイデオロギーのせめぎあい―メキシコ合衆国エル・パルマール遺跡の考古学調査と碑文解読から―
- 塚本憲一郎
要旨 本稿は,初期国家におけるイデオロギーのせめぎあいを実証的に検討する。初期国家には支配的イデオロギーが貫徹していたとする先行研究に対し,古典期(後250~900年)のマヤ都市国家においては中心部と周縁部とで並存する複数のイデオロギーのせめぎあいが国家の変容を生む要因であったとする理論的仮説を立てる。これを検証するために,エル・パルマール遺跡の北周縁部に着目する。発掘によって得られた諸データは,中心部の王権とは異なるイデオロギーを内在した社会集団が,北周縁部を政治空間として利用していた可能性を示している。これらの成果から,複数のイデオロギーという理論的視座は,初期国家研究のさらなる進展に貢献しうると結論づける。
キーワード 複数のイデオロギー,実践理論,初期国家研究,古代マヤ都市,マヤ文字解読
書 評
- 川島尚宗著 『生産と饗宴からみた縄文時代の社会的複雑化』
- 瀬口眞司
新刊紹介
- 会下和宏著 『墓制の展開にみる弥生社会』
- 清家 章
- 野口 淳・安倍雅史編 『イスラームと文化財』
- 吉田 広
- 久世仁士著 『百舌鳥古墳群をあるく』 『古市古墳群をあるく』
- 岸本道昭
考古学研究会創立60周年記念企画 「会誌でみる考古学研究会の60年」 (3)
考古フォーカス
- 徳島県徳島市 渋野丸山古墳の調査
- 徳島市教育委員会
全国委員つうしん