目次
第64巻 第3号(通巻255号)
2017年12月
展望
- 「文化審議会文化財分科会企画調査会中間まとめ」に対する意見書について
- 考古学研究会常任委員会
- 特集「学校と考古学」
- 連載の開始にあたって
- 企画委員会
- 学校所在資料の過去・現在・未来―第1部の趣旨―
- 市元 塁・瀬谷今日子・平田 健・村野正景
- 学校所在資料形成史―学校になぜ考古資料があるのか?―
- 市元 塁
- 学校における考古資料の所在,管理,機能
- 市元 塁
- 学校所在資料はいかにして把握できるのか
- 瀬谷今日子
- 世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群登録への軌跡
- 岡寺未幾
- 世界遺産は生き残れるか―第41回委員会の経緯報告と噴出する諸課題の行方―
- 中村俊介
- 水中遺跡の保護を考える
- 森先一貴・木村 淳
考古学研究会第63回総会講演録
- 世界と日本における火山災害の歴史学的研究
- 青柳正規
考古学研究会第63回総会研究集会報告(下)
- 近
世琉球における津波被害と村落変遷―石垣島安良村跡発掘調査を中心に―
- 石井龍太
要旨 本稿は,石垣島安良村跡の発掘調査成果を紹介し,1771年
に発生したとされる「明和の大津波(八重山地震津波)」によって村が蒙った被害と復興の歴史を明らかにする。安良村跡は琉球諸島南端の石垣島に位置し,
18世紀から1912年まで存在した集落遺跡である。地表面上には礎石建物跡が確認されるが,トレンチ調査によってさらに複数の掘立柱建物跡の柱穴と,近
世期の津波痕跡が確認された。発掘調査と文献調査を踏まえて,津波後に集落地は放棄されるものの,村人達の意志や王府の強制によって津波前に近い形で復興
されていったことが明らかになった。
キーワード 八重山列島,近世,津波,集落,安良村跡
- メ
ソアメリカ文明と火山噴火―イロパンゴ火山の巨大噴火を中心に―
- 市川 彰
要旨 本稿では,新大陸において完新世最大規模と評されるイロパン
ゴ火山の噴火によって被災した地域における噴火災害からの復興過程について検討する。はじめに災害研究における人文社会科学や考古学研究の役割,メソアメ
リカ文明における山信仰や噴火災害研究史について概観する。次に,イロパンゴ火山の噴火に被災した複数遺跡の状況を被災前後の変化の有無に着目し概述す
る。結果,噴火のインパクトは一様ではなく,火口からの距離や方角,自然環境,センターや集落の性格によって多様であること,メソアメリカ社会の核であっ
た神殿ピラミッドを再建するという協働作業が噴火災害からの復興過程において重要であった可能性を指摘する。
キーワード 災害考古学,復興,メソアメリカ文明,イロパンゴ火
山,古典期
論文
- 古
墳時代馬具における繫の変化とその背景
- 片山健太郎
要旨 本稿では古墳時代後期の馬具における多様な繫(がい)の採用
をめぐる二つの変化を具体的にトレースするために,繫飾金具,繫の幅,鏡板・杏葉における繫の連結方法の三つの視点から分析をおこなった。この検討により
装飾馬具としての繫の変化,繫の種類と連結方法に一定程度の相関が認められることが明らかになった。
古墳時代後期を通して,一貫して繫の装飾化は進んだとみられるが,バリエーションへの志向という点では,共通のものを志向する時期と,多様なものを志向
する時期が存在するようである。この背景として,生産体制のあり方と,馬装体系における繫の位置づけの二つの側面の変化,影響関係が考えられることを指摘
した。
キーワード 馬具,繫,生産と流通,馬装体系,セット
書評
- 石川岳彦著『春秋戦国時代 燕国の考古学』
- 中村大介
- 後藤 明著『天文の考古学』
- 石村 智
新刊紹介
- 池谷和信編『狩猟採集民からみた地球環境史 自然・隣人・文明との共生』
- 山岡拓也
- 寺前直人著『文明に抗した弥生の人びと』
- 端野晋平
- 林田憲三編『水中文化遺産 海から蘇る歴史』
- 小野林太郎
- 文化庁編『日本人は大災害をどう乗り越えたのか 遺跡に刻まれた復興の歴史』
- 瀬谷今日子
考古学研究会創立60周年記念企画「会誌でみる考古学研究会の60年」(5)
考古フォーカス
- ポルトガル アルメンドレスのクロムレック
- 温品ディアナ
- 埼玉県熊谷市 前中西遺跡出土石戈の概要
- 松田 哲
全国委員つうしん