<考古学研究会事務局>
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会誌『考古学研究』
目次
第66巻 第1号(通巻261号)
2019年6月
展望
- ラオス考古学支援プロジェクト―ラオス国立大学社会科学部歴史・考古学科支援―
- 新田栄治・川島秀義
- 高屋城・高屋築山古墳の立入り観察
- 中井 均・中久保辰夫
- 第51回「建国記念の日」を考える県民のつどい(岡山)参加記
- 村田秀石
論文
- 九州における弥生勾玉の系譜
- 大坪志子
要旨 九州北部における弥生時代の丁子頭勾玉を含む定形勾玉は,縄文時代の獣形勾玉の刻みの要素と,中国大陸や朝鮮半島の文化の影響を取り入れて成立したとされてきた。しかし,筆者の縄文時代後晩期の石製装身具に関する研究では,九州における縄文時代後晩期の石製装身具は晩期前葉で終焉を迎え,弥生時代の勾玉の出現までには空白期間が存在し,定形勾玉と縄文時代の勾玉との関係性が存在しないことが判明した。
特に,これまでこの縄文時代と弥生時代との勾玉をつなぐとされてきた佐賀県菜畑遺跡の勾玉について,出土状況やほかの遺跡の事例を含め改めて詳細な検討を行った結果,これは弥生時代中期中葉に属する可能性が高いと考えられる。
すなわち,弥生時代初頭期の弥生人は,朝鮮半島の文化との接触のなかで勾玉という装身具を身に着ける習俗を模倣したのである。しかし,それが権威の象徴として位置づけられたのは,武器形青銅器,銅鏡,南海産大型巻貝製腕輪などとともに,ヒスイ製定形勾玉が出現した弥生時代前期末葉から中期初頭であった。
キーワード 弥生定形勾玉,縄文獣形勾玉,朝鮮半島,ヒスイ製,菜畑遺跡
- 鳥居龍蔵の1923年度朝鮮石器時代調査
- 岡田憲一
要旨 本稿は,朝鮮半島石器時代研究の先駆けをなす鳥居龍蔵の彼地での調査のうち,先行研究で取り上げられる機会の少なかった,1923年度調査の具体的な内容を究明することにより,それが鳥居の朝鮮半島石器時代に関する実質上の最後の調査として重要であること,この調査の結果,「固有日本人説」および「日鮮同祖論」を,鳥居自身が確信するに至ったのだと考察した。最後に,彼が朝鮮半島石器時代に関する研究を完遂できなかった理由についても考察を加えた。
キーワード 鳥居龍蔵,朝鮮半島,石器時代,固有日本人説,日鮮同祖論
研究ノート
- 外縁付鈕2式における銅鐸工人集団の関係―高坏形土製品の検討を中心に―
- 清水邦彦
要旨 本稿の目的は近畿地域における銅鐸工人集団の関係性を明らかにすることである。対象時期は製品である銅鐸群および鋳造関連遺物である高坏形土製品や送風管の様相を把握しやすい弥生時代中期後半とした。高坏形土製品,送風管の型式の組み合わせから大阪平野北部,大阪平野中部,奈良盆地の工人集団の把握が可能であることを提示したほか,これら鋳造関連遺物のほか,銅鐸群,鋳型石材,原料金属の入手について各工人集団間の共通点と差異を整理することで,大阪平野中部の工人集団を核とした関係性を示した。
キーワード 高坏形土製品,送風管,銅鐸,工人集団
書評
- 端野晋平著『初期稲作文化と渡来人―そのルーツを探る―』
- 小南裕一
- 熊木俊朗著『オホーツク海南岸地域古代土器の研究』
- 臼杵 勲
新刊紹介
- 小林青樹著『弥生文化の起源と東アジア金属器文化』
- 吉田 広
- 池田榮史著『海底に眠る蒙古襲来―水中考古学の挑戦―』
- 吉崎 伸
考古フォーカス
- 大阪市 梅田墓―都心に眠る近世墓地―
- 岡村勝行
- アメリカ合衆国 サーパント・マウンド遺跡
- 松木武彦
考古学研究会第65回総会・研究集会報告
たより
- 愛知県陶磁美術館企画展「インダス文明への道―栗田功コレクションを中心に―」の開催
- 大西 遼
委員会つうしん・全国委員つうしん