<考古学研究会事務局>
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会誌『考古学研究』
目次
第69巻 第1号(通巻273号)
2022年6月
展望
- ウクライナへの軍事侵攻に対して
- 常任委員会
- 【連載】現代社会と考古学①
- これからの文化財専門職員の人材育成にむけて―デジタル技術と埋蔵文化財調査・保存・活用を中心に―
- 野口 淳・魚津知克
- 白髪山古墳(「清寧天皇河内坂門原陵」)の立入り観察
- 伊藤聖浩
論文
- 石釧の生産と編年
- 二村真司
要旨 古墳時代前期の腕輪形石製品で最多の点数を誇る石釧は,生産から流通・使用に至る各局面の資料が知られている。しかし,他器種に比べ包括的な編年研究は停滞しており,各局面が時間軸上に位置づけられていない。本研究は,没交渉的に分析されてきた生産遺跡出土の未製品や製作残滓と,古墳出土の製品資料とを相互に参照することで,製作工程と製作技術に基づく石釧編年を構築し,石釧生産を通時的に復元した。
分析の結果,製品の組合せは6段階に時期区分され,地域・石材・技術における2つの生産の画期が抽出された。また,各地域の石材に適応した穿孔技術が採用され,工程と技術を共有する3つの資料群が製作された様相を明らかにした。
キーワード 石釧,編年,製作技術,製作工程,生産遺跡
- 彫ってわかった石彫A型・B型直弧文の構図原理
- 西平孝史
要旨 本論考は,石に刻まれ薄肉レリーフ技法で表現された直弧文の痕跡が消失する方向に向かっている遺例もあること,そのために直弧文の構図原理を解明する必然性を感じたからである。手法は,浮き彫り表現の千足直弧文と石人山直弧文の図形の復元と彫りの復刻制作時に生まれた図形分解・分析を元とし,そこから生じた同じ制作意図の意匠と線彫り7遺例とを照合し比較検討した。その際,先学の研究を踏まえるとともに補強し新しい知見も加え,体験学習で確かめ検証した。石彫直弧文における直弧文図形型式を詳細にわたり検討するに至った。その結果を「A型・B型直弧文 構図原理一覧表」にまとめた。
キーワード 石彫直弧文,5本線帯,ベース・パーツ図形,図形分解,構図原理
書評
- 宇垣匡雅 著『楯築墳丘墓』
- 会下和宏
- 岸本雅敏 著『日本古代の塩生産と流通』
- 小笠原好彦
- 河野一隆 著『王墓と装飾墓の比較考古学』
- 有松 唯
- 北條芳隆・小茄子川歩・有松 唯 編『社会進化の比較考古学―都市・権力・国家―』
- 石村 智
新刊紹介
考古フォーカス
- 岡山県倉敷市 中津貝塚の調査
- 倉敷埋蔵文化財センター
- ペルー共和国カハマルカ州 インガタンボ遺跡
- 山本 睦
委員会つうしん
会員つうしん