<考古学研究会事務局>
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会誌『考古学研究』
目次
第70巻 第4号(通巻280号)
2024年3月
展望
- ガザにおけるジェノサイドと歴史的遺産破壊に抗議します
- 常任委員会
- 日本学術会議をめぐる議論について
- 常任委員会
- スーダンでの軍事衝突から武力紛争下における文化遺産の保護を考える
- 石村 智・関広尚世・清水信宏
- 大阪市文化財協会の解散と都市型遺跡調査の担い手をめぐって
- 一瀬和夫
考古学研究会第70回総会・研究集会 趣旨説明 講演・報告要旨
考古学研究会第69回総会・研究集会
- 第69回考古学研究会研究集会総括
- 宮里 修・長友朋子
論文
- 北部九州におけるヒスイ製玉類の地域性と出現過程
- 小松 譲
要旨 石材産地が新潟県であるヒスイ製玉類は,弥生時代に北部九州の墳墓副葬品などとして多く出土するが定形,獣形,緒締形など多くの形式があり,古墳時代には定形勾玉に収斂され古墳の主要な副葬品になっていく。同玉類を集成のうえ形式・型式分類をおこないその分布や比率・出土量等を分析した結果,定形・亜定形を主体とする北部九州西部地域と半玦形など北陸系を主体とする同東部地域の2地域が抽出でき,その出現期には2つの画期がみられた。ヒスイ製勾玉と碧玉製管玉からなる石製装身具の様式を主導したのは福岡平野や唐津地域であり,北陸地方との地域間交流による北陸系玉類の流入などにより地域性が形成された。
キーワード ヒスイ製勾玉,北部九州,地域性,出現期,画期
研究ノート
- 埋葬方位研究の今とこれから
- 白川美冬
要旨 研究成果の蓄積と研究領域の細分化が顕著な埋葬方位研究では,学史の体系的把握が積年の課題であった。そこで本稿では,先史・原史時代を対象とした埋葬方位研究を整理し,現時点での課題を点検した。その結果,通時的視座と客観的根拠を提示した景観分析の導入が課題であることがわかった。今後の埋葬方位研究は,周辺景観や自然環境と人間の営みを通時的に把握し,民俗方位と呼称される方位概念の実態把握を行いながら,造墓時の方位規範とそこに投影された価値観念を再考する必要がある。
キーワード 先史・原史時代,学史整理,埋葬,葬制,方位
- 『通論考古学』にみる文化財の保存・修復の思考―浜田耕作が見たローマとポンペイの発掘現場―
- 杉山浩平
要旨 浜田耕作の名著『通論考古学』は,考古学研究の黎明期に方法論を普及させることに貢献した。この本の記載のなかでは,各種研究の方法以外にも遺跡・遺構・遺物の保存と修復という分野についても記されていることはあまり知られていない。浜田の欧州への留学は考古学の方法論を学ぶためであったが,浜田はローマとポンペイの発掘現場を訪れ,当時のイタリアにおいて保存と修復にも力点を置いた遺跡発掘の方針転換を目の当たりにした。日本国内では文化財の保護の制度が当時十分に確立していたとは言えない。ローマ・ポンペイという西洋古典考古学の最前線に触れることができた浜田は遺跡・遺構・遺物の保存と修復の必要性をいち早く認識し『通論考古学』を通じて唱えることになった。
キーワード 浜田耕作,通論考古学,ローマとポンペイ,遺跡の保存と修復
書評
- 田中 裕 著『古代国家形成期の社会と交通』
- 西川修一
新刊紹介
- 高妻洋成・小谷竜介・建石 徹 編『入門 大災害時代の文化財防災』
- 瀬谷今日子
考古フォーカス
- バハレーン 古ディルムン時代の墳墓群
- 上杉彰紀
- 兵庫県西宮市 津門大塚町遺跡の発掘調査
- (公財)兵庫県まちづくり技術センター
会員つうしん