考古学研究会
<考古学研究会事務局>
〒700-0027
岡山県岡山市北区清心町16-37長井ビル201
TEL・FAX 086-255-7840
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会誌『考古学研究』
目次
第71巻 第4号(通巻284号)
2025年3月
展望
- 「大学における考古学教育に関する調査」アンケート(速報)
- 企画委員会
考古学研究会第71回総会・研究集会趣旨説明 講演・報告要旨
考古学研究会第70回総会・研究集会講演
- 北米大陸から見た考古学と現代社会
- 羽生淳子
要旨 北米では,現代の社会・環境問題を論じる脈絡の中で,考古学の目的と意義を 再検討する動きが盛んである。第一に,ネイティブ・アメリカンをはじめとするマイノリティの人々との協働考古学が進展し着実な成果を上げている。その背景には,現代社 会において多様性・公正性・包摂性の実現をめざす社会・法制上の変化がある。第二に,気候変動や災害に対するレジリエンス(弾力性)や,文化・社会の長期的持続可能性に 関わる地域と地球の環境問題に,考古学からアプローチしようとする研究例が増加している。本稿では,これら二つの動きについて事例研究を交えながら紹介し,日本考古学 がこれらの動向とどのように関わることができるかを議論する。キーワード 協働考古学,アメリカ先住民族墓地の保護・返還法(NAGPRA),在来知,アグロエコロジー,レジリエンス
考古学研究会第70回総会・研究集会報告(下)
- 民族学・人類学・考古学的想像力の行方
- 吉田泰幸
要旨 考古学・先史学はその黎明期から民族誌的類推,民族学,人類学を介した想像 力と密接不可分だった。その様子が顕著かつ興味深く観察されるのは,先史の建物を再建する,先史の人々の様子を描く,先史の景観を再生するといった「復元」においてで ある。それぞれの歴史,現在進行形の諸実践を分析すると,民族学,人類学,考古学が一体となって形成された想像力は19世紀から現在に至るまで,グローバルな影響関係, 借用,迅速な翻訳をとおして先史のイメージや過去の見方の大転換と,それと裏表の関係にある大いなる呪縛を生み出していることがわかる。この両義性は民族学,人類学に 限らずその他の学問領域と無関係ではいられない考古学の困難と希望を示している。キーワード 先史考古学,民族学,人類学,復元,影響/借用
- 成果の共有から方法の共有へ
- 馬場 基
要旨 本稿では,考古学と隣接諸科学の協業により,新しい研究を展開することを,文献史学の立場から提案する。 協業の前提として,各学問の特性の十分な理解が必須である。文献史学が依拠する言語・文字は,巨大で網羅的な情報を提供する反面,言語化・文字化の際に失われる情報 も多い。一方考古資料は,各資料の持つ情報は解像度を維持している一方,発見される資料は社会の一部分に留まる。 こうした特性を踏まえつつ,研究手法の援用により新しい研究のステージを切り開きたい。ここでは,日本古代木簡を,考古学的な手法を援用しつつ,「木簡の作法」の観点 から整理・分析することで,日本列島文字文化の特性の解明を目指した事例を紹介する。キーワード 研究手法,史料学,身体技法,規範,文字文化,木簡,木簡の作法
論文
- 縄文時代中期集落における同軸同範建築の研究
- 吉澤 徹
要旨 本稿では,主軸方向・主柱穴配置・竪穴プラン・炉の位置関係が一致する竪穴 建物を同軸同範建築として概念化するとともに,縄文時代中期後半の関東甲信地域を対象に,同軸同範建築から環状集落の定型性の背景を論じた。同軸同範建築の検出作業を 対象遺跡で行った結果,2棟1組を基本として定形的な形態の竪穴建物址に集中して認めることができた。この現象について,2棟1組の同時存在または上屋の移設の可能性 を考察した。また近接する集落址間で同軸同範建築の検出を進めた結果,2棟1組で同軸同範建築を共有する現象を捉えた。2棟1組の構成単位が集落間におよんでいたか, 上屋が移設された可能性があると結論づけた。キーワード 縄文時代中期,竪穴建物,環状集落,同軸同範建築,建築更新
- 弘福寺領広瀬荘瓦山について
- 新尺雅弘
要旨 天智天皇によって発願された弘福寺(川原寺)の荘園である広瀬荘には,水田 だけでなく「瓦山」という瓦窯を有する土地も構成要件に含まれていた。「瓦山」は夙に着目されてきたが,その所在地など基礎的な事項すら明確でないのが現状だった。そこ で本論では,これの解決を図るため,まず「瓦山」が存在したと想定されている馬見丘陵の瓦生産遺跡である大谷瓦散布地の平瓦について同工品分析を実施し,これが弘福寺 創建瓦窯であることを特定した。さらに,「瓦山」の四至を復元したところ大谷瓦散布地と重複したため,これを「瓦山」の比定地として結論した。ここに寺領内瓦生産の開始 を看取でき,天智朝における初期瓦生産的ミヤケ内瓦生産からの脱却を指摘しえた。キーワード 弘福寺(川原寺),広瀬荘,瓦山,瓦生産,荘園
書評
- 春成秀爾 著『始原のヴィーナス―旧石器時代の女性象徴―』
- 中園 聡
- 小野林太郎 編著『島世界の葬墓制―琉球・海域アジア・オセアニア―』
- 石村 智
- 陳 有貝 著『台湾考古学』
- 俵 寛司
新刊紹介
- 中村大介 著『青銅器が変えた弥生社会―東北アジアの交易ネットワーク―』
- 坂川幸祐
考古フォーカス
- グアテマラ共和国エスクイントラ県 ロス・チャトス/モンタナ遺跡
- 鈴木真太郎,Javier Estrada,Oswaldo Chinchilla
- 岡山県岡山市 金蔵山古墳の調査
- 岡山市教育委員会
会員つうしん